夜、布団に入ったのに頭の中が動き続けてしまうことがよくあります。
明日のこと、今日の失敗、どうでもいい昔の思い出まで。気づけば目が冴えていて、眠りがどんどん遠のいていく。
病気というほどではないけれど、“満足できる眠り”がなかなか手に入らない。そんな夜を、私はずっと繰り返してきました。
睡眠って本当にリターンの大きい習慣なんですよね。しっかり眠れただけで、頭は冴えるし気分も軽い。だからこそ、眠れない夜をなんとかしたいと、あれこれ試してきました。
前回はカフェインのリセットについて書きましたが、今回は私が実際にやってみて効果を感じた『刺激制御療法』について。
一言でいえば――ベッドでは寝る以外のことはしない。
眠れない夜を過ごしてきたあなたに向けて、体験談も交えながら書いていきます。
刺激制御法について
本記事は書籍『医師・コメディカルのための不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』を参照します。
認知(考え方)と行動(振る舞い)の両面からストレスや問題にアプローチし、悪循環を断ち切る方法です。科学的に効果が認められ、世界的に普及している心理療法です。
刺激制御法は認知行動療法の技法の一種です。
刺激制御法は「寝床=眠る場所」といった適応的な条件付けの再構築と、体内時計および睡眠圧の機能の安定化を目指します。
眠れない場合は寝床で粘らないことで、寝床は寝る場所という認識を強めるのです。
覚醒時に寝床から離れることは、寝床の上で不眠で頭を埋め尽くしてしまうという、不眠症の人に特有の否定的な認知行動を減少させるメカニズムがある。
岡島義 編 『医師・コメディカルのための不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』 第Ⅰ部 第2章 睡眠スケジュール法の基礎:刺激制御療法と睡眠制限法
もう少し具体的な取り組みを見てみましょう。
具体的には、寝床は寝るために使用し、他の活動は行わないこと、眠れない場合は寝床から出ること、この時、時計はみないこと、朝一定の時刻に起床すること、昼寝を避けることなどが指示される。
岡島義 編 『医師・コメディカルのための不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』 第Ⅰ部 第2章 睡眠スケジュール法の基礎:刺激制御法と睡眠制限法
効果はどうなんでしょう。
これにより、現在寝床と関連している睡眠を妨害する手がかり刺激との結びつきや寝床で覚醒してしまう条件づけられた覚醒を消去、並びに睡眠の仕組みを混乱させる習慣を取り除き、体内時計を整え、睡眠圧を高め、よるの自然な眠気を導く。
岡島義 編 『医師・コメディカルのための不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』 第Ⅰ部 第2章 睡眠スケジュール法の基礎:刺激制御法と睡眠制限法
刺激制御法についてポイントを絞って解説します。
参考図書『不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』
『不眠に対する認知行動療法』は不眠症状に悩んでいるが、診断基準はみたさないような準臨床レベルの人々にも有効性が確認されています。本書は医師・コメディカル向けなので、学術的な言い回しがあるものの、Q&Aもあり大変分かり易いです。さらに『一人でも実践できる!』をコンセプトに書かれてあるので、実践し易いです。
ご自身が不眠に悩んでいる方におすすめできる1冊です。
【鉄則1】10分眠れない場合はベッドを出る!!
刺激制御法の原本には、「10分以上寝付けなければ寝床から出る」ことが明記されています。
岡島義 編 『不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』 第Ⅰ部 第3章Q&A
刺激制御法では時間を確認することをすすめていません。時間確認なしで10分はわかるものでしょうか。また、10分という制限があることで眠れないことへの不安が強まらないでしょうか。
本書では実践では「眠れなくてつらくなったら寝床を出ましょう」といった幅をもたせる工夫も認めています。
寝る時間を削っているわけではない!寝床で眠れない時間を削っている!
刺激制御法は寝床に入る時間が減るので、睡眠時間が減ると誤解されがちです。
実際は「寝床にいる時間の制限」を行っており、睡眠時間が極端に削られてしまうことはありません。
【鉄則2】眠れない時は興奮しないToDOを決めておく!!
一旦寝床を出た時にしてはいけないものとして以下を挙げています。
- 集中しすぎてしまうもの
- パソコン等の強い光
- 過度に覚醒、興奮すること
逆に推奨しているのは以下です。
- 読書
- 手芸
- 音楽鑑賞
- ストレッチ
眠れない時のTODOをあらかじめ決めておくのが大事です。
夜はスマホを絶対使わない
夜間のスマホ利用は睡眠にとって障害になることが多いです。
寝床に持っていくことでついつい触ってしまうことありますよね。そういう場合は、目覚まし時計を利用して、スマホは離れた場所に置きましょう。
眠れない時のTODOはスマホを使わないものが無難と言えるでしょう。
時計は見ないで、眠気を頼りにしよう
時間確認は、諸刃の剣であり、「起きるまでまだ5時間あるから大丈夫」といった安心と、「もうこんな時間!早く寝なきゃ」といった焦り・不安の相反する状態を作りだす。
岡島義 編 『不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』第Ⅰ部 第1章 快眠8ステップ
私はまさにこの状況でした。時計を見て焦り、眠くもないのに寝床に入り、また眠れないから寝床を出る。
興奮しない作業を行い、眠くなったら寝床に付く。眠気≒睡眠圧を貯めて寝ることで睡眠の質が圧縮されるのです。
補足|日中眠くなるけど、なるべく寝ないで活動的に過ごして
日中の仮眠は睡眠・覚醒リズムの安定を図るうえで足枷となります。日中寝る分、夜の眠気がなくなるのです。
また、予定をキャンセルしたり日中の活動を制限したりしますが、夜間の眠気はその分貯まりません。
どうしてもしんどい時は座るなどの休憩をし、シフトワークや命に係わる作業の前は仮眠などを取りましょう。
不眠対策で大事なこと|日中の支障がないか
「睡眠問題によって支障をきたしている日中の困りごと」の改善を最終目標にしましょう。
岡島義 編 『不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』第Ⅰ部 第3章Q&A
中略
実臨床では、睡眠状態の改善を最終目標とした場合、眠れないことへのこだわりをさらに高めてしまうことが多々あります。つまり、不眠を改善するために、眠れていないことに意識を向けるというパラドックスです。
人によって必要な睡眠時間は違ってきます。ごくまれにいるショートスリーパーの方は、8時間眠れないことは問題じゃないから悩む必要はないのです。
睡眠不足によって起こる弊害は色々あります。
- バカになる
- 老ける
- 太りやすくなる
- コミュニケーションに支障がでる
こちらの記事で詳しく解説しているので、参照ください↓
8時間眠れていないなら、一旦カフェインを手放してみて|眠れないことで手放していること
まとめと私のケース
まずは睡眠障害で起きている日中の困りごとの確認です。
私は眠れない時には以下のことで困っていました。
- 便秘になる
- 子どもにイライラしやすくなる
- 家事・雑事をするのが辛くなる
睡眠で困っていることを洗い出します。
私は以下で困っていました。
- すぐに眠れるけど、2~3回起きて眠れないことがある
- 時々考え事をして眠れない
次に中途覚醒時のTODOの決定です。
私は以下に決めました。
- 読書
- 筆記開示(考え事をしている際)
現状は、考え事で眠れなくなることが辛くなくなりました。考え事が浮かんでいた際は、日中に筆記開示を行うことで、寝床で考え事をすることも減りました。
以前はスマホをを時間確認のため起きた際もも持ち歩いていたのですが、今後スマホは寝床に置くこととします。
現状で日中の支障はほとんどありませんが、中途覚醒を減らすことで臥床時間を減らし睡眠の質を高めようと考えました。
そこで改善できるポイントとして、就寝時間を遅らせて眠気を貯めることです。
私はこどもが円滑に眠れるように21時には一緒に寝床に付いていました
要するに、寝床に付く時間が起床時間より逆算した適切な寝床につく時間より早すぎると考えたのです。
この点は、現在改善に取り組み中です。
具体的には、子どもの就寝準備を済ませた後に可能な限り消灯してリビングで読書をしてみようと思います。
子どもが「寝床は暑い」といってリビングで寝ようとするので、現状だと子どもの睡眠に対して悪い影響は少ないと予想します。
最後に日中に活動的にいることも大事です。
私は主夫でフリーランスなので、運動する機会を意識的に作らなくてはなりません。私は散歩やサイクリングをしています。
書籍『医師・コメディカルのための不眠に対する簡易型認知行動療法実践ガイド』では、さらに詳細な情報が載っているので、自分で不眠を解消したい方は是非ご一読ください。
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