最近本記事で我が娘の小学校行き渋りを取り上げてきました。
『不登校』で私好みの書籍を発見したので、これを機に紹介させていただきます。
『不登校の9割は親が解決できる』という書籍です。
本書籍の特徴を3つ挙げます。
- 親が出来る事にフォーカスしている
- 学校に行くことは多くの人にとってベターな選択肢という立場をとっている
- 実際の不登校支援サービスの代表者が執筆している
本書をお薦めできる方は以下の方です。
- 親として自分でできることを知りたい方
- 学校にはなるべく行って欲しいと思っている方
- ゲーム、SNS、インターネットに依存気味のお子さんを持っている方(不登校でなくても)
- 時々行き渋りがあるお子さんを持っている方
著者が代表の不登校支援サービスがありますが、私は使用していないので本記事では言及しません。
本書の特徴の『1,親が出来る事にフォーカスしている』と『2,学校に行くことは多くの人にとってベターな選択肢という立場をとっている』を説明します。
親が出来る事にフォーカスしている
本書では不登校の状態を「学校」と「家庭」の二軸で考えています。
「学校」も「家庭」も良い状態であるのが理想です。ただ、どちらかが良くなくても、一方が良ければ学校に行くことはできると考えられます。家が辛い状況でも、学校に行けば良い友だちや先生がいて楽しいと思えれば、学校に行きたいですよね。学校で辛いことがあっても、家庭の状況が良ければ、辛さを乗り越えて学校に行くことができます。
小野昌彦 監修 小川涼太郎 著『不登校の9割は親が解決できる』第1章 現代の不登校は何が原因なのか
本書での「家庭の状況」が良いとは「正しい親子関係」が築けているということであり、「正しい親子関係」とは、親が家庭の主導権をにぎり、ダメなことはダメと言う厳しさもありながら、愛情深くあたたかく子どもを守ることのできる関係と定義しています。
愛情深さと厳しさのメリハリが大事な気がします。
特に厳しさは普段の愛情深さがあるから通るのではないでしょうか。
そして家庭の状況は親にこそコントロール出来る範囲です。
学校や保育園の環境は親にコントロール出来る事は多くないでしょう。
保育園はまだしも、小学校は引っ越しや受験でもしないと選ぶ事さえできません。
子どもの時期は「家庭」と「学校」の二軸になるかもしれませんが、大きくなるにつれて複数のコミュニティが持てるようになります。
複数のコミュニティをもった状態だと、コミュニティのどれかが良い状態を保てれば、その他はなんとか頑張れるのかもしれませんね。
不登校の原因を取り除いても、学校に行けるとは限らない
本書では不登校の直接の原因を追究しなくても、不登校を解決できると述べています。
なぜなら、不登校の原因はさまざまで、それを突き止めること自体が難しいからです。
そして、原因だと思われるものを見つけても、そこにアプローチしただけでは問題が解決しないことも多いそうです。
原因を追究しなくても、不登校を解決できるのは、子ども自身の「問題を乗り越える力」を引き出すからです。
本書では再登校に導く「5つの条件」が紹介されています。
『正しい親子化関係に戻す』も5つの条件に入っています。
どれも大人になっても必要なものばかりでした。
すべて紹介したいのですが、目次にも項目は明記しておらず、本記事では一つだけの紹介に留めます。
学校に行くことは多くの人にとってベターな選択肢という立場をとっている
多様性が重視され、さまざまな選択肢も増えている現代では、「学校に行かなくたっていい」という言説もよく耳にします。
小野昌彦 監修 小川涼太郎 著『不登校の9割は親が解決できる』第1章 現代の不登校は何が原因なのか
中略
ただ、むやみに「学校に行かなくてもいい」というのは危険です。
学校に行かずに、学校と同等の教育や機会をえることはかなり難しいのが現実だからです。
学校と同等の環境を用意するために必要な費用は月で24.9万円という試算を出しています。
中身は、授業、給食、運動、同世代のコミュニティになります。
授業、給食、運動は代替手段を想像し易いですが、私には同世代のコミュニティ(オフライン)を学校レベルで代替する手段は思いつきません。
友達のような同じ方向を向いて頑張る人の存在は、とても大きいのではないでしょうか。
補足:不登校でなくともスマホ、ゲーム利用はほどほどが良い
スマホやタブレットは脳にドーパミンというホルモンの量を増やすことがわかっています。ドーパミンは、快楽、喜び、意欲をもたらす働きがあります。スマホにLINEの通知、SNSの通知などが届くたび、ドーパミンが増えます。スマホを見たい、確認したい衝動に駆られるのです。
小野昌彦 監修 小川涼太郎 著『不登校の9割は親が解決できる』第2章 ゲーム・スマホが問題を長引かせる
もともとドーパミンは、十代の頃にもっとも活発に働き、興奮もその反動も大きくなります。その一方で、子どもの「衝動を抑制する能力」は未発達です。脳の前頭葉は衝動をおさえる力を司りますが、成熟するのには時間がかかります。25~30歳になるまで完全に発達しないと言われています。
本書ではゲームやスマホの問題と不登校の相性の悪さを1章分取って説明しています。
スマホやゲームは学校を休んだ日に「暇で可哀そう」という親心とも相性が悪そうです。
スマホやゲームが怖いのは自分で止めることが難しいところです。
残念ながら子どもが自主的にデジタル機器から離れることはほぼありません。ゲームもスマホも、世界中の天才たちが人間の脳や行動のパターンなどをわかったうえで「夢中になるように」作っているのです。大人だって自制するのが難しいのに、子どもに自制を期待するのは酷というものです。
小野昌彦 監修 小川涼太郎 著『不登校の9割は親が解決できる』第2章 ゲーム・スマホが問題を長引かせる
ですから、大人がきちんとルールを作ってあげることが必要です。
本書では、スマホ・ゲームの利用時間が増えると、勉強時間が増えても数学の点数が上がりにくいことが分かった研究を紹介しています。
東北大学の川島隆太教授が仙台市の小中学生を対象に3年間、脳の発達についてMRIで観察したところによると、ほぼ毎日インターネットを使う子どもたちは、大脳灰白質(大脳皮質)の発達が止まっていたそうです。
小野昌彦 監修 小川涼太郎 著『不登校の9割は親が解決できる』第2章 ゲーム・スマホが問題を長引かせる
スマホやタブレットを高頻度で使っていれば、脳の発達そのものが止まってしまうため、勉強しても学力が上がらないのは当然だといいます。
本研究を詳細に吟味したわけではないのですが、スマホの利用が増えれば、たくさん勉強しても、たくさん寝ても学習成績が悪くなるという内容でした。
必要に迫られてスマホを渡しているご家庭もいらっしゃと思います。
必要な機能だけに留めた利用を心掛けたいものです。
スマホとの付き合い方は、大人も考えないといけない
子どもにスマホの使用を制限するためには、大人もスマホとの付き合い方を考えないといけません。
子どもだけ制限して、大人がだらだらとスマホを使っていたら説得力がないですよね。
大人もメディアの思惑に流されず、主体性をもった利用を心掛けたいです。
書籍『不登校の9割は親が解決できる』の紹介
この書籍は『不登校になっていない親御さん』に読んで欲しい一冊でした。
書籍内で紹介されている『最短で不登校を乗り越えられるマインド』は子育てに必要な親のマインドだと感じました。
目次にも掲載されていたので、紹介します。
- 長期的視野に立って行動しよう
- 動揺している姿を見せない
- 失敗も前向きにとらえる
- 自分が変われば状況は変えられる
- 期待せずに信頼しよう
社会に出てからも必要なマインドではないでしょうか。
他にも具体的な声掛けの提案も載っていますので、是非読んでください。
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