先日のセッションで、ひとつ迷いがありました。
「この情報、本当に聞く必要があるのだろうか」
そう思いながらも、その場では必要だと判断し、相手に確認をとりました。
後でひとり振り返ってみると、その情報が曖昧なままでも、セッションは同じ着地を迎えられたのではないかと気づきました。
つまり私は、相手のためというより、自分の理解のために細部をたずねてしまったのかもしれない――。
そう考えたとき、ひとつの問いに行き着きました。
「情報は、どこまで意識的にたずねなくていいのだろう」
短時間で成果を出すセッションでは、この問いはとても重要だと思います。
無駄な話を省けるからです。
本記事では私が取り組んでいる「聴く体験をしてもらうセッション」を前提に、このテーマを改めて考えてみたいと思います。
私の問いは以下の通りです。
- 自分の理解のための質問は削れるのではないか?
- その質問を尋ねないで困るのは、聴き手か話し手か?
- 聴き手は、話し手の内容を同じ解像度で理解する必要はないのではないか?
- 解決方法を求める場合でなければ情報の詳細を尋ねる必要はない?
結局『話し手が何に興味関心を向けているかに注力して判断すばいいんじゃないか』にいたりました。
今回の振り返りで私にとって『話し手が何に興味関心を向けているかに意識を巡らせる聴き方』は大切な拠り所なんだということが分かりました。
私は聴き方はほとんど独学です。その過程で知った『withoutジャッジメントな聴き方』は話し手を否定しない聴き方でした。子育てや夫婦間のコミュニケーションの気づきから聴く世界に入ったので、この否定しない聴き方がとてもなじむんですよね。
『withoutジャッジメント』な聴き方は私の価値観とも合致しているので、私の問いに道を示してくれる軸のようなものだと気づきました。
問いに対する私の判断
問いへのそれぞれの思考過程も書いておきます。ここは私の個人的判断が強く、確証バイアスも多分に含むので読み飛ばし可能です。
自分の考えや信念に合致する情報ばかりを集め、反対情報を無視または軽視してしまう認知の偏り
自分の理解のための質問は削れるのではないか?
この問いへの判断は比較的簡単でした。
私の判断は『基本的には削ってよい』になりました。
自分の理解のための質問が出るということは、『相手の興味関心に意識を持っていけていない』ということになります。自分の興味関心を見ているのですね。
『基本的に~』と言ったのは、話し手が話の内容を理解されたいと思っている場合は除かれるからです。おそらく多くの場合は、自分が話してすっきりしたり、もやもやが整理されたりすることが有益だと思います。しかし、一定数自分を理解されることにメリットを感じる方もいるのではないでしょうか。その場合は、情報の詳細を聞いて共感する必要があるのだと思います。これは新たな問いでもありますね。
その質問を尋ねないで困るのは、聴き手か話し手か?
私の判断は『基本的に聞き手は困らないことが多いので尋ねない』です。
セッションでの私の利益は『話し手の利益になること』です。話し手の利益を考えるためには、話し手の興味関心に向けることが大事です。私は情報を尋ねようが尋ねまいが、話し手の利益を優先すれば私にも利益になるのです。
また『基本的に~』と濁しました。
詳細を尋ねられないことで、聴き手に困惑したり不信感を抱いたりする状況は話し手の不利益なので私にとっても不利益になります。その際は、詳細を尋ねる必要がありそうです。
聴き手は、話し手の内容を同じ解像度で理解する必要はないのではないか?
そもそも同じ解像度で理解することが無理です。
よって『同じ解像度で理解する必要はない』と判断しました。
ただ、できるだけ話し手の立ち位置に近くなればなるほど何かが見える気がしています。
これも新たな問いです。
解決方法を求める場合でなければ情報の詳細を尋ねる必要はない?
これは『話し手がそう判断している過程を詳細に知る必要はある』と判断しました。
それは解決方法を教えることが、必ずしも話し手に有益になるとは限らないからです。
詳細な解決方法を求められたら、エピソードの詳細を尋ねる必要があるかもしれません。
しかし、話し手が求めている解決方法を与えるより、何がそう思わせているのか等を整理した方が根本的な解決になります。
例を出します。
散歩が趣味の成人男性がいました。男性は足を痛めて散歩が出来なくて落ち込んでいます。早く散歩ができるようになりたいと願っています。
男性は散歩に何を求めているのでしょうか。
男性は早く足のけがを治して、一刻も早く散歩できることを求めているのでしょうか。
男性の話を聴いているうちに、男性は散歩をすることでストレス発散になり、悩み事で悶々としなくなることに意味を見いだしていることが分かりました。
そうなるとストレスが発散出来て、悩み事で悶々としない別の方法があれば良さそうです。
男性は話を聴いてもらったことでその点に気付き、自転車なら足が痛まないのでサイクリングを試してみることになりました。
このように対話を通して、根本的な価値観に気付けることがあります。
それに気づけば、無駄に悩む必要もなくなります。
おわりに:自分の軸にも批判的な視点が大事
今回はセッション中にでた私の問いを振り返りました。
結果的に『withoutジャッジメント』な聴き方を軸としたら判断が容易でした。
軸があると判断がしやすい反面、偏りが強くなるので批判的な視点も必要だとも感じました。
『withoutジャッジメント』な聴き方を拠り所にしつつ、より良い聴き方を模索していきたいです。
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『withoutジャッジメント』な聴き方を学べる1冊です。
聴くことができて、伝えるが生きてくる。子どもや部下が言うことをきかないという方に必読の1冊です。
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