『RANGE<幅>』と『GRIT<やり抜く力>』|2冊を用いて『サラリーマンの異動』と『子どもの根気が続かない』を捉え直す

異動するサラリーマン 書籍関連
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こんにちは、3児の父、ぴょん吉です

最近『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる(以下、RANGE本)』『GRIT やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける(以下、GRIT本)』の2冊を読みました。

皆さんは仕事上で、同じ部署で長く働くか、様々な部署を経験するか迷ったことはないでしょうか?

私は10数年看護師をしていましたが、専門に特化するべきかで悩むことがありました。結果的には小児医療に軸足を置きながら4つの部署と副看護師長という中間管理職を経験しました。今でも、さらに専門特化するべきだったかの正解は分かっていません。

2冊を読み、歩んできたキャリアも悪くはなかったんだなと思えるようになりました。

今回2冊から『人生・キャリアにおいて、長期的には<>を出すように意識して、短期的にはやり抜く力で集中する』という示唆を得ました。

この抽象的な示唆を子持ちお父さんの現実に落とし込みました。

本記事では2冊のエッセンスを基に『サラリーマンの異動』と『子どもの根気が続かない問題』を捉え直します。

本記事で分かること
  • 『GRIT本』『RANGE本』の紹介
  • サラリーマンの異動の捉え直し方
  • 子どもの根気が続かない問題の捉え直し方

書籍紹介

『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』

RANGEの表紙

RANGE「幅」とは:知識、キャリア、経験など様々な幅

RANGE本での<幅>とは知識の幅、キャリアの幅、経験と興味の幅、思考の幅などを指します。

問題が曖昧で、明確なルールがない「意地悪な」世界では、「幅(レンジ)」が人生を生産的、かつ効率的にするための術となる。

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる 第1章 早期教育に意味はあるか

「意地悪な世界」と対照的に述べられているのが「親切な学習環境」です。

「親切な学習環境」では同じパターンが繰り返し現れ、非常に正確なフィードバックが、通常は直ぐに提供されます。本書では、ゴルフとテニスが比較されていて、ゴルフがより「親切な学習環境」だとされています。

ぴょん吉
ぴょん吉

ゴルフはどのクラブ、どの角度、どんな力加減で打てば(パターン)、カップまでどのくらいの距離かはっきり分かるけど(正確なフィードバック)、テニスは対戦相手が変数になるし、ダブルスだとペアもいるからゴルフより「親切」じゃないのも納得できるね。テニスの方が難しいというわけではないよ。

本の概要:複雑な要素が絡み合う世界では、色々な幅があった方が有利

著者:デイビット・エプスタイン
アメリカの科学ジャーナリスト

インタビューや科学的根拠をもとに『早期教育に意味はあるか』『早く学ぶか、ゆっくり学ぶか』『スペシャリストがはまる罠』などのテーマを扱っています。例にスポーツ選手、CEO、過去の偉人が登場しますが、著者は『幅の広さや、遅めの専門特化について学んだことで、自分自身や世界の見方が変わった。この研究は、どの年代の人にも関係する。算数や音楽やスポーツの上達を目指す子どもたち、自分の道を探そうとしている大学新卒者、キャリアの変更が必要な中堅の人たち、天職を探している退職希望者ー』と述べています。

ぴょん吉
ぴょん吉

概念から方法論まで学べる本だったよ。『GRIT本』とは違って具体的な行動プランの紹介はないけど、フェルミ推定などお勧めの幅を活かす方法には触れてあって参考になったよ。

RANGEの限界・欠点:『幅』を出すことは、まわりから後れをとったと感じる

メディアで語られるイノベーションや自己発見のストーリーは、A地点からB地点までのシンプルな道筋のように聞こえる。たとえば、何らかのインスピレーションを受けてトップアスリートへの道を歩んできた、といった単純明快な説明だ。しかし、そのストーリーも、時間をかけて深く掘り下げてみると、だんだん曖昧になっていく。

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる おわりに あなたのレンジを広げよう

『専門特化は取り組みやすい。まっすぐ進み続ければいいからだ。幅を広げるのはそれほど簡単ではない。』

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる 第9章 時代遅れの技術を水平思考で生かす

『多くの大人がカネ儲けのために、音楽でもスポーツでも、なるべく早く専門特化することが不可欠だと思わせようとしている。』

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる おわりに あなたのレンジを広げよう

本書では「非常に曲がりくねったキャリアパス」という研究について触れています。この調査ではマスターソムリエから動物のトレーナー、調律師、助産師、建築家、エンジニアまで、各分野で卓越した業績を上げている人たちにインタビューしていて、以下の結果がでています。

ほぼすべての人が一筋ではない道筋をたどっていた。「さらに驚いたのは、誰もが自分は例外と思っていたことだ。」
中略
最初の調査対象50人のうち、45人がとても曲がりくねったキャリアを歩んでおり、あちこちにジャンプしてきた経歴を恥ずかしいと思っていた。

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる 第7章 「いろいろな自分」を試してみる 
ぴょん吉
ぴょん吉

専門特化を進めてくる雰囲気がある中では、キャリアの寄り道は当事者でもネガティブなイメージを持ちやすいんだね。

『GRITー人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』

GRITの表紙

GRIT〈やり抜く力〉とは:「情熱」と「粘り強さ」

「やり抜く力」は「情熱」と「粘り強さ」のふたつの要素でできている。
「情熱」とは、自分のもっとも重要な目標に対して、興味をもち続け、ひた向きに取り組むこと。
「粘り強さ」とは、困難や挫折を味わってもあきらめずに努力を続けることだ。

GRIT やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

本書を執筆したのは、私たちが人生のマラソンでなにを成し遂げられるかは、まさに「やり抜く力」ー長期的な目標に向けた「情熱」と「粘り強さ」ーにかかっているからだ。

GRIT やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける 第13章 最後にー人生のマラソンで真に成功する

本の概要:才能×努力=スキル、スキル×努力=達成、努力は二重に影響する

著者:アンジェラ・ダックワース
アメリカの教育界で重要視されている「グリット」(やり抜く力)研究の第一人者。

本書では才能(努力によってスキルが上達する速さ)も大事だが、努力は物事を達成する上で才能より重要だと説明されています。

本書に登場する成熟した「やり抜く力」の鉄人たちは4つの特徴「興味」「練習」「目的」「希望」の側面から「やり抜く力」を段階的に強めていました。

本書では以下の説明があります。

  • 「やり抜く力」の内側からの伸ばし方
  • 「やり抜く力」の外側からの伸ばし方

「やり抜く力」を計測する質問もありました。

ぴょん吉
ぴょん吉

執筆時点でやり抜く力と子育ての関連性についての研究はないと言いつつも、目の前の子育ては待ったなし。2児の母としての気概を感じられる本だったよ。

GRITの限界・欠点:書籍内にGRITの欠点に関する研究がない

心理学者のアダム・グラントとバリー・シュワルツが研究した結果、どのような性格特徴についても、長所が表れる最適なポイントは逆U字形の頂点であり、左右の両極端から見て中間であると考察した。
中略
これまでのところ、「やり抜く力」については「逆U字形」の頂点(中庸)が最適であることを示す現象は確認されていない。とはいえ、「やり抜く力」についても「逆U字形」がが当てはまる可能性がないとは言えないだろう。

GRITー人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける 第13章 最後にー人生のマラソンで真に成功する
ぴょん吉
ぴょん吉

本書の第一刷発行が2016年で、研究はそれより前に行われたものだから、今では新しい知見、特にGRITのネガティブな側面に触れた研究が増えている可能性はあるだろうね

サラリーマンの異動を用いて捉え直す

サラリーマンの部署異動
Image by AIいらすとや

『RANGE本』と『GRIT本』でそれぞれが推している『幅』や『GRIT』は『人生において』『どの年代にも』重要と書かれています。しかし、インタビューされてる人や引き合いに出されている人は有名人や結果を出している人です。

本書を読んだわたし、元平凡なサラリーマンお父さんが両書に書かれているエッセンスをサラリーマンにどう活かすか考えてみました。

サラリーマンの定義を確認しておきます。

サラリーマンとは

会社、団体などに継続的、定期的に勤めてサラリーをもらっている人。

コトバンク
日本のサラリーマン状況

総務省統計局が行っている労働力調査令和5年11月分を見ました。
就業者の85%が役員を除く雇用者です。要するに15歳以上の働いている人の85%はサラリーマンということです。
労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)11月分 (stat.go.jp)

サラリーマンの特徴に異動があります。異動は希望が通ることもあれば、通らないこともあります。皆さんは、異動にストレスを感じたことはないでしょうか?

2冊を用いて異動を捉え直してみます。

サラリーマンの異動をマッチ・クオリティーを試す機会と捉える

マッチクオリティを試しているところ

「マッチ・クオリティー」は経済学の用語で、ある仕事をする人とその仕事がどのくらいあっているか、つまり、その人の能力や性質と仕事の相性を表す言葉だ。

マッチ・クオリティーは、実際にやってみるまでは分からない。

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる 第6章 グリットが強すぎると起こる問題

もちろん異動先での得た経験や知識は<幅>を出すことにもつながるでしょう。

不本意な異動はジョブ・クラフティングで乗り切る

現実の異動は希望通りにいかないことが多いです。異動先の仕事に前向きになれないかもしれません。

前向きにならなくても、職場がそこまで悪い環境ではないと思っているならば、お勧めのテクニックがあります。

それは『ジョブ・クラフティング』です。

GRIT本では、GRITの鉄人が持っていた『目的』を育むためのアイデアとして紹介されています。

ジョブ・クラフティングとは

GRIT本でジョブ・クラフティングの説明は極少量だったので、他の書籍を参照します。

サイエンスライター鈴木祐さんが書いた『科学的な適職』です。

書籍『科学的な適職』の紹介

『科学的な適職』では『適職』を『あなたの幸福が最大化される仕事』と定義しています。
書籍では仕事選びにおける意思決定の精度を高めて、正しいキャリアを選び取る確率をあげます。最終的に「人生の後悔」を限界まで減らすことをゴールにしています。

書籍での『ジョブ・クラフティング』の定義は『自分の仕事を価値観にもとづいてとらえ直す手法』です。

書籍でジョブ・クラフティングは、いまの職場の満足度などを分析して『いまの職場はそこまでひどくなかった』というケースに科学的に効果が認められているテクニックと紹介されています。

研究ではジョブ・クラフティングが私たちの仕事に次の影響を与えることを示されています。

  • 前向きな行動の増加
  • 周囲の問題を積極的に解決する姿勢の増加
  • 主体的に仕事に取り組む感情の増加

『科学的な適職』では研究で効果が示されているジョブ・クラフティングの具体的な方法と注意点が紹介されていました。

本記事では少し脱線しているので、気になる方は是非手に取ってみてください。

我が子の根気が続かない問題を捉え直す

習いごとに無理やり連れていく

子育てをしていると、『子どもが1つの事に熱中しない』『習い事が続かない』ことがあります。我が子にGRIT<やり抜く力>がないと思うと悲しくなるかもしれません。

この問題を『GRIT本』『RANGE本』のエッセンスを用いて捉え直しました。

「グリットがあるか」ではなく「いつならグリットがあるか」を尋ねる

熱中している画

私たちは、誰かに「グリットがあるか」と尋ねるのではなく、「いつならグリットがあるか」を尋ねるべきなのだ。「その人に会う状況に置けば、熱心に仕事をする可能性が高く、それはまるで外からグリットを得たように見えるだろう」

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる 第7章 「いろいろな自分」を試してみる

皆さんには『ある一面をみると根気がなさそうに見えるけど、他の一面を見ると別人のように根気がある』経験がないでしょうか。

うちの娘は、宿題の書き取りはイヤイヤやっているのに、宿題が終わった後に文字の練習と言ってポケモンの名前を自由帳に書いていました。

GRIT<やり抜く力>も同じで、ピアノがダメでもダンスにはのめり込む等の現象が起こるという考え方です。

何かをすぐ辞めたがったら、頭ごなしに否定せずに何を原因に辞めたがっているのか見極めましょう。

RANGE本では、辞め時についてアメリカ合衆国のマーケティング関連の書籍で有名なセス・ゴーディンの言葉を紹介しています。

やめるべき時がわかることは、戦略的に非常に大きな強みなので、何かを始めようとする時には、やめる時の条件を挙げておくべきだとゴーディンは言う。彼によると、ここで最も大切なのは、やめようと思う気持ちが、忍耐力が足りないためなのか、それとも、もっと自分に合うものを見つけたからなのかを感じ取ることだ。

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる 第6章 グリットが強すぎると起こる問題
ぴょん吉
ぴょん吉

親の中だけでも習い事を辞めるルールを決めておくのもいいかもしれないね。

まとめ

『RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる』では、複雑な条件が絡み合う世界では<幅>を持つことが最強の武器になり、<幅>はどうやって作るのか方法が提案されています。

『GRITー人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』では努力の重要性とやり抜く力の伸ばし方が学べます。

両書の「マッチ・クオリティー」「ジョブ・クラフティング」というエッセンスを用いて『サラリーマンの異動』と『子どもの根気が続かない問題』を捉え直しました。

マッチ・クオリティーとは

「マッチ・クオリティー」は経済学の用語で、ある仕事をする人とその仕事がどのくらいあっているか、つまり、その人の能力や性質と仕事の相性を表す言葉だ。

マッチ・クオリティーは、実際にやってみるまでは分からない。

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる 第6章 グリットが強すぎると起こる問題
ジョブ・クラフティングとは

ジョブ・クラフティングは『自分の仕事を価値観にもとづいてとらえ直す手法』

『科学的な適職』でジョブ・クラフティングは、いまの職場の満足度などを分析して『いまの職場はそこまでひどくなかった』というケースに科学的に効果が認められているテクニックとして紹介されています。

サラリーマンの異動はマッチ・クオリティを試す機会かつ<幅>をだす機会と捉えてはいかがでしょう。

子どもの習い事の根気が続かない問題は、子どもをよく観察し「グリットがないのか」ではなく「いつならグリットがあるか」を見極めましょう。

参考書籍

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる

GRITー人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

科学的な適職

補足:どちらか1冊しか読めない人はRANGE本をお勧めします

理由はRANGE本が示唆に富んでいるからです。

しかし、目次が大きく区切られており斜め読みには向いていません。

おわりに:サラリーマンは終身雇用があてにならないし分散せざるを得ない?

昔と比べると終身雇用制もすがれるものではなさそうです。
この状況は長期的視点でみると転職の機会が増えて、必然的に「RANGE(幅)」が効く環境になります。
では世の中の流れに身を任せていれば、<幅>が出るのでしょうか。

そうかもしれないし、そうじゃないかもしれません。

『RANGE本』には3M社の特許と社内情報を調べた研究について以下の通りに書かれています。

開発者の中には、幅も深さもそれほど際立っていない人がいたが、そうした人たちによる貢献はなかった

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる 第9章 時代遅れの技術を水平思考で生かす

つまり、幅も深さも出せないと成功を得にくい恐れがあります。大きな成功は望まなくとも終身雇用の保証にすがれない世界では、サラリーマンが会社に貢献することは重要なのではないでしょうか。

その場その場ではGRIT<やり抜く力>で深みを出し、時には世の流れに身を任せたり自ら大海原に出たりして<幅>を生み出す。
その時は、本記事で紹介したようなエッセンスやアイデアが力になると思うので、是非読んでみてください。

それでは、またお会いしましょう。

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