とある本で『「聴いてもらえなかった」ある病院の先生とのやりとり』という話を読みました。
筆者が肩を痛めたため病院に行ったところ、話半ばで診断を下されました。痛みが引かなかったため、別の病院にかかると、手術・リハビリを要する事態だったことが分かりました。
筆者は二人の医師を比較して、話を聴ききってくれたかどうかの違いを述べていました。聴き切らなかったため、問題の本質にたどり着けなかったのです。
この話と私のかかりつけ医との経験をもとに、やぶ医者の定義を考えました。他にも、病院の口コミの見方、かかりつけ医を選ぶ指標を考察しました。
まずは『藪医者』言葉の意味を確認しましょう。
診断・治療の下手な医者。
コトバンク
それでは診断・治療が下手とは素人目に分かるものでしょうか。病院も飲食店ほどではないですが、口コミサイトが存在します。しかし、口コミする側の多くは医療知識の点で素人なことが多いのではないでしょうか。それではどんな口コミを信用すればいいのでしょう。
医療素人でも見分けるポイントが1つあります。
それは『患者の話を聴いてくれるか』です。話を聴いてくれたかどうかは、話し手の主観によるので口コミでも参考になります。
スタッフに話を聴いてもらえたかどうかの納得感
患者側の問題が大きすぎて、一回では解決しない可能性があります。一件の口コミでなく、複数の否定的意見・肯定的意見があるかどうかを見ましょう。
病院が混んでいたら、診療が流れ作業になっても、患者の納得感はそこまで損なわれないのではないでしょうか。
『決められた時間』の中で、相手の問題に合わせて効果的に話を聴けない医者
話を聴くことが下手な医師でも、時間をかけるかマニュアルに沿えばある程度聴くことができます。聴けば聴くほど、情報は貯まります。するといつか情報が繋がって、問題が見えてくるのです。
一方聴くことが上手い人は、問題が見えるまでに時間がかかりません。寄り道が少ないイメージです。
『決められた時間』とは『病院側の都合の時間』と『患者の問題による時間』に考慮したいです。
『病院側の都合の時間』は混雑具合や病院の利益で変動します。混んでいたら一人一人に割ける時間は減り、一人一人に時間を割くと一人当たりの利益は減ります。
『患者の問題による時間』は問題(病気)の性質によって変動します。問題がはっきりしている外科系(怪我)や痛みで困っていたら、対症療法を取ってあげれば済みます。問題がはっきり見えない内科系は、少し時間がかかるかもしれません。
時間がかかる診療科は、時間で区切った予約制もしくは事前に時間がかかる旨をアナウンスをしてあると患者目線で良心的ですね。
これらの要因で決まる時間の中で、なるべく話を聴き切らないといけません。聴き切れないと、患者の納得感が低下するか、治癒に向かいません。
ここで私のかかりつけ医の話をします。
私の子どもを含めると、かかりつけ医を二つもっています。『話を聴いてくれるか』の点で言うと、Aクリニックはまずまず話を聴いてくれますが、Bクリニックはあまり話を聴いてくれません。
Bクリニックは混んでいようがいまいが、話の途中で診察に入ることが2回に1回はあります。診療の速さと通いやすさから、話を聴いてくれない点は目を瞑れています。個人的に原因がもやっとした症状の時は、こちらから話せるように気合を入れるか、事前のネット問診に事細かに要望を書いている次第です。
Aクリニックは、寄り添ってくれる感はあるのですが、看護師との連携が弱いことが気になります。
この点は、Bクリニックも同様に連携が悪い。
看護師の動きが流れ作業の一部でしかなく、全員で看ている感じが乏しいのです。
実はA・Bクリニック共に医師に共通点があります。それは大きい病院の長を務めていた経験があることです。
看護師と医師との間には明確に権力の勾配があります。医師の立場が上なことが多いです。これは、法律上医師の指示がないと看護師が動けない点からいうとごく自然なことです。
しかし、一人による今回は医師によるトップダウンが必ずしも良いクリニックの条件とは限りません。
グループの長を務めていた方はそれ相応の矜持があるはずです。本人にその自覚がなくても、周りは自然とそれを意識します。誰にだって、職位・年齢・性別で対応を変えた経験はあるはずです。
要するに、職位の高い人は孤独になり易く、周囲から意見をもらうためには自ら権力の勾配を降りていく必要があります。そして、それは多くの人にとって難しいのです。
これらの考察から、かかりつけ医を探すときのポイントをひとつあげます。
過度な職位を経験してきていないほうが、スタッフや患者の話を聴きやすい傾向にあって良い
過度な職位を補足すると、かかりつけ医に必要なものは職位ではなく、話しやすさだからです。
患者が話しやすいということは、医師は聴きやすいのです。むしろ高い職位は邪魔なのです。
「職位が高いということは、診療技術が高いのではないか」という意見もあると思いますが、おそらく『高い職位≠診療技術の高さ』です。職位は政治的な結果もあるでしょうし、必ずしも一致しないと思います。また『低い職位≠話を聴ける』でもないので気を付けましょう。
ここで大事なのは高い職位を経るほど、聴く姿勢、権力勾配を降りてくる姿勢が問われるという点です。
高い職位を経て、話を聴けるかかりつけ医でいる方もいると思います。その方はおそらく名医に分類される医師でしょう。
病院を選ぶ時、医師のプロフィールを見ていませんか?「○○大学病院の医長だったから良さそう」と思ったことありませんか?今思えば私はそれでした。
そして「この先生、話しづらいな」と勝手にハードルを上げていませんか?私はそうでした。耳を診る習慣がない医師に対して、そこまで気にしないでいたら、子どもの中耳炎に痛がるまで気づけなかったことがあります。これは私を含め全員で診療していなかった結果だと思います。
このままでは医師の悪口ばかり言っているみたいなので、戒めとして次回は自分の立場で考えてみます。
『藪産業看護師』と『聴けない大人』
関連記事
『聴く』ことって何↓
『聴く』ことの素晴らしさを言語化してみた|ついでに実体験から危険性も考えた
コメント